本が好きだから、いろんな本を読んできたけど、読書の楽しみって今まで知らなかった世界を覗けることだと思う。
ただ覗くだけで何もできなくても。
こういう世界があるんだなぁって知っておきたい。
で、今日は聴覚障害者のことが知れる小説とマンガを紹介してみる。
小説
『デフ・ヴォイス』
荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。弱き人々の声なき声が聴こえてくる、感動の社会派ミステリー。
仕事と結婚に失敗した中年男・荒井尚人。今の恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一つの技能を活かして手話通訳士となる。彼は両親がろう者、兄もろう者という家庭で育ち、ただ一人の聴者(ろう者の両親を持つ聴者の子供を"コーダ"という)として家族の「通訳者」であり続けてきたのだ。
家族の中で、自分の耳だけが聴こえてる。
両親も兄も家族はみんな聾者の中で育った荒井が主人公の小説。
こんな孤独を想像したことがなかった。
一度も考えたことがなかったことを知って、何度も考えさせられた良書。
手話に種類があって、聴者の手話と聾者の手話は違うこともこの小説で初めて知った。
『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』
もしかすると、ぼくは母親の胎内にいたとき、国に“殺されて”いたかもしれない――。
そう考えると、いまこうして原稿を執筆できている状況が、まるで奇跡のように思えた。2018年9月、衝撃的なニュースを目にした。ろう者である兵庫県の夫婦2組が、国を相手取り訴訟を起こしたのだ。
その理由は、旧優生保護法による“強制不妊手術”。旧優生保護法とはいまはなき法律で、その第1条には「不良な子孫の出生を防止する」と記されていたという。
障害があることで、差別を受ける。これは絶対にあってはならないことだ。健常者のなかには、障害者をことさら特別視する人たちがいる。それが悪意のある差別や偏見として表出することもあれば、過剰な親切心という逆説的なカタチで表れてしまうこともある。
けれど、忘れないでほしい。障害者は別世界の人間ではない。ぼくら健常者と同じ世界に生き、同じように笑い、怒り、哀しむ、ぼくらの隣人なのだ。ただし、ぼく自身がそう考えられるようになったのは、大人になってからだった。幼少期の頃のぼくは、障害者、特にろう者のことを嫌っていた。
そう、かつてのぼくは、母のことが大嫌いだったのだ――。(本文より)
上記の『デフ・ヴォイス』から辿って知った作品。
聴覚障害者の両親と著書のエッセイのようなお話。
お母さんが温かくて優しい気持ちになる。
『レインツリーの国』
きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。やりとりを重ねるうち、僕は彼女に会いたいと思うようになっていた。しかし、彼女にはどうしても会えない理由があって――。
聴覚障害者にもいろいろな種類があるんだなぁと思った本。
青春!って感じの初々しさがあふれる恋愛小説。
読みやすくサクッと読める。
マンガ
『君の手がささやいている』
ほんとうにわかりあいたいと思ったとき、必要なものは言葉ではなかった……。ろうあ者・美栄子(みえこ)と彼女をとりまく人々の、言葉をこえた心の交流を描く、感動の手話ストーリー!! ――普通の会社に就職した美栄子。健常者と仕事をすることは美栄子にとっても不安であり、周囲の人々もまた戸惑いを隠せなかった。そんななか、美栄子の気持ちを理解した博文(ひろふみ)の存在が、彼女の心の支えとなっていた。2人は徐々にひかれあい、そして恋におちる……。
おすすめされて読んだマンガ。
少し前のマンガなんだけど、それぞれの話がとても温かくほっこりするストーリーでおもしろかった。
『聲の形』
お前なんかに出会わなきゃよかった。
もう一度、会いたい。耳の聞こえる少年・石田将也(いしだしょうや)。
耳の聞こえない転校生・西宮硝子(にしみやしょうこ)。
ふたりは運命的な出会いをし、そして、将也は硝子をいじめた。
やがて、教室の犠牲者は硝子から将也へと移っていった。
幾年の時を経て、将也は、 もう一度、硝子に会わなければいけないと強く思うようになっていた。
ちょっと重いけど、おもしろいマンガ。
だけど、当たり前に知ってほしいことだよ。
おわりに
自分が知らない世界をのぞけるのが本のいいところ。
ちょっとでも興味があったら読んでみてほしいと思う。